(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)」によると、2023年の空き家数は過去最多の900万戸だったそう。そのようななか、小説家の高殿円さんは、祖父と叔父が亡くなってから長年放置されていた、築75年・再建築不可の実家に頭を悩ませました。高殿さんは、大量の残置物を片付けるために<ガレージセール>を実施することにしたそうで――。今回は、高殿さんの著書『私の実家が売れません!』より、一部抜粋・再編集してお届けします。

兄ちゃんの物色

ガレージセールにやってきたせどらー(=商品転売によって利益を得ている人)の兄ちゃんこと「Fさん」は、昭和レトロな食器をすべて確保すると、すぐにほかのものを物色しはじめた。

「金属製のものはすべて引き取ります」と、大工道具の中に大量に残されていたビス類をはじめとして、さびさびのスチール棚などにキープのガムテを張り始めた。

兄ちゃんはあきらかにラタン家具も狙っていたようだったが、一歩先に引き取りを決めていた隣町に引っ越してきたばかりの姉弟が勝った。

姉弟はプロのせどらーと違って一般人なので、一度に家具を全部持って帰れない。

しかし私たちは日が暮れればガレージセールを閉店して家に帰る。

二人が知り合いにトラックを借りてもその日にこちらに来られるかどうかは不明だ。