(以下写真:『婦人公論.jp』編集部)

出版不況が言われて久しい昨今。書店の数が減り、近年では物流問題も加わるなど、その環境は厳しさを増すばかり。そんな苦境でもヒットを遂げる本や出版社に隠された<強さのヒミツ>とは? 今回は科学新書『東洋医学はなぜ効くのか』のマンガ化コンテストを手掛けているブルーバックス編集部・出口拓実さんにお話をうかがいました。(全2回の1回目)

「ブルーバックス」レーベルとは

――まず「ブルーバックス」レーベルについて説明いただけますか?

ブルーバックスは1963年に創刊された、講談社の老舗レーベルのひとつです。キャッチコピーは「科学をあなたのポケットに」。

「科学新書」というジャンルですので、内容は宇宙や生命、数学など。一見、難しそうと感じてしまうサイエンスを、研究者の先生方にわかりやすく執筆してもらい、多くの方にひろく楽しんでいただく、というレーベルになります。

これまで2000冊以上刊行されていて、 中にはノーベル賞を受賞された先生の本もあります。ありがたいことに、執筆依頼をした際に、著者の先生方から「私も読んでいましたのでぜひ」と好意的な声をいただくことも多いです。

ーー出口さんは書籍編集者としては、やや変わった経歴をお持ちだそうで。

出版社と”畑違い”のテレビ局に10年あまり在職して、2021年にこちらへ転職しました。

テレビ局では報道記者として、医療や科学を中心に、日々のニュースやサイエンス系の番組に長い期間携わりました。特に転職前は新型コロナが流行したタイミングでしたので、必死に取材をした覚えがあります。

ただ、決してテレビが嫌いになったから転職したというわけではなく、もっといろいろな世界に触れて「情報やメッセージを伝える方法」を学びたい、と思い始めた頃、講談社の募集を見つけて「本」の可能性に関心を持ちました。

それで実際に転職活動を受け、本の編集は未経験ながらも、運よく御縁を頂くに至った…というところです。