音楽評論家・作詞家として、60年以上にわたって活躍し続けている湯川れい子さん。美容家・タレントとしてお茶の間に笑顔を届けるIKKOさん。自分自身がハッピーでいるために、人とお金にどう向き合っているのでしょうか(構成:丸山あかね 撮影:富田眞光)
メソメソなんてしていられない
IKKO お目にかかれて光栄です。私は小さな頃からテレビっ子で、なかでも歌謡番組に夢中でした。いい歌だな~って思うと湯川先生の作品だったんです。まさか対談する未来が待ち受けていたなんて。
湯川 ありがとうございます。嬉しいです。幼い頃に私が作詞した歌を聴いていたというIKKOさんは何年生まれですか?
IKKO 1962年生まれで、もう62歳。やだー、いつの間に~って感じです。(笑)
湯川 もう? 60代なんてまだまだお若いわ。私は88歳。もうすぐ89歳になるんですよ。
IKKO えーっ! 先生は年齢を超越しておられますね。
湯川 いいえ、たまたま元気なだけ。腹膜炎やC型肝炎を患ったり、今年も年明けから心労で3週間入院したり……。いろいろあるけど、仕事を続けていられることに感謝しています。
IKKO 感謝できるって幸せなことですよね。
湯川 はい。みんないろいろなことがあって、悩みのない人なんていないでしょう。でも自分の恵まれているところに目を向けて、感謝できる人が幸せになれるんですよね。
IKKO 深いですね。私は強がって生きるのも大切なことだと思っていて、その気づきを与えてくれたのは湯川先生の書かれた歌詞の数々。特にアン・ルイスさんの「六本木心中」の歌詞に胸を鷲掴みにされました。
湯川 あれはシンディ・ローパーに会うためにニューヨークへ向かう飛行機のなかで作ったんです。アンちゃんとシンディと私の共通点って何かしら? って考えてみたら、一見派手だけれど、男社会のなかで闘っていることだ、って。あの歌の詞に込めたのは、自由に生きるためには、メソメソなんてしていられないのよ、という女性の強さといじらしさでした。