IKKO ただ、友達選びって意外と難しくないですか? 傷口を舐め合うような関係性を「この人とは気が合う」と勘違いしたりしがちで。私の場合、依存関係でいたら成長できないと気づいて、人との距離感について考えるようになりました。それから運気が好転した気がします。
湯川 うーん、私は10代の終わりに女優から音楽評論家へ転身したのだけれど、その頃から「この人みたいになりたい!」と思わせてくれる刺激的な人を求めていましたね。尊敬する先輩や友達に見限られないような考え方や生き方をしたい、と自分を律していたのかも。
IKKO 確かに、リスペクトできる人がいるかどうかは大きいですね。でもどうしたらそういう人と知り合えるのか――。
湯川 その人と知り合いたいから近づこう、というのではないんです。あっ、魅力的な人だわと思って話しているうちに親しくなって、気づいたら相手がすごい人になっていた、という感じ。
絶妙なタイミングで出会うべき人に出会えたのは運命でしょうね。運のいい人というのは、人の縁に恵まれている人のことじゃないかと思います。
IKKO 先生はすでに、リスペクトされる側の方ですけれど。
湯川 そんなふうに考えたことはないけれど、「湯川さんみたいになりたい」と言ってくれる若い人に出会うと嬉しくて、何か私にできることはないかしら? と真剣に考えるの。
つまり若い人から刺激を与えられているわけで、人ってご縁を回しながら生きているのだなとつくづく思いますね。