【ベストセラー散歩】コピーライターが育休をとってみて　～『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』

『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』著◎梅田悟司

コピーライターが育休をとってみて

家事といえば、「掃除、洗濯、炊事」という言葉しか浮かばない人がこの本を読んだら、きっと「そうだったのか！」の連続。名もなき家事をしてきた妻や主夫、母親らに感謝の念を深くすることでしょう。

そして、〈終わりがない。達成感もない。誰かにほめられることもない〉……ないないづくしの家事をこなしてきた方にとっては本書は、「ある、ある！」の連続で、共感の輪が広がることでしょう。2つの「！」が重なり、9月の発売から6万部を突破した。

私はといえばビックリ組で、〈タッパーのフタと容器を正しく組み合わせる家事〉などをしてきた家人に感謝し、〈置いたはずのハサミが見当たらず、元に戻さなかった家族の顔がチラつく家事〉に追われる家人に懺悔しました。

そうです。裏返しの靴下をひっくり返して洗濯する、食べ残しにラップをかけてしまうなど、家事にはキリがありません。「バイトするなら、タウンワーク。」などを手がけた男性コピーライターは、4ヵ月半、育児休暇をとり、これは「育児労働……。仕事のほうが楽！」と痛感し、見えない家事に名前をつけて見える化し、家事に敬意を表したのです。

粉雪、淡雪、細雪など、雪のさまざまな名を知ることで自然がより豊かに感じられるように、命名は感謝への第一歩です。

ところで、書評子にも見えない仕事があります。本を読み、書きだすまでの間、ソファに横になっているのはごろごろしているのではありません！ どう書くか、考えている（場合もある）のです。この見えない仕事に名前をつけてください！