時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは東京都の60代の方からのお便り。仕事先のデイサービスにいる、82歳の女性の家には彼女の「命の恩人」である雄鶏がいるそうで――。
雄鶏を飼う82歳の女性
私が働くデイサービスにいる82歳の女性。彼女は独身の息子と二人暮らしで、ペットに「コッコちゃん」という雄鶏を飼っている。
ある日、息子さんがヒヨコをもらってきて、育ててみたのだ。成長すると朝から元気に鳴くため近所から苦情がきて、毎朝謝罪するはめになり、郊外の庭つき一軒家に引っ越したらしい。
コッコちゃんは甘えん坊。餌は置くだけではだめで、彼女か息子さんの手から直接食べさせる。また、いくらしつけてもいたるところでフンをしてしまうので掃除が大変である。
「でもね、コッコは命の恩人なのよ」
「そうなんですか?」
昨年12月、息子さんの出勤後、新聞を取りに玄関へ出たところ、彼女は突然激しい頭痛に襲われ転倒。後でわかったことだが、脳卒中だった。