「私の人生に欠かせない存在と言えば、3人娘のメンバー、中尾ミエさんと園まりさん。10代のときに3年間、《スパーク3人娘》として活動したこの2人を抜きに、私の人生は語れません」(撮影:宮崎貢司)
伊東ゆかりさんは6歳で初ステージを踏んで以来、70年以上歌手として活躍している。お金の苦労もしてきたが、自分を信じて人と支え合うことで苦難を乗り越えてきた(構成=内山靖子 撮影=宮崎貢司)

前編よりつづく

再結成後、3人娘は「心の友」に

お金に関して人様に自慢できるエピソードはないのですが、そのぶん、人には恵まれてきたと思います。

離婚後、仕事に追われる私の代わりに娘の世話をしてくれた、当時の付き人だった方。地方公演で泊まりがけのときも、彼女がいたから、安心して娘を預けて出かけることができました。

娘が通っていた小学校の担任の先生にも救われましたね。離婚して「父親役も母親役もやらねば!」と肩に力が入っていた私に、「そんなに無理しなくてもいいんですよ。お母さんが頑張りすぎると、娘さんも疲れちゃいますから」と。その一言で力が抜けて、気持ちがラクになりました。

なかでも、私の人生に欠かせない存在と言えば、3人娘のメンバー、中尾ミエさんと園まりさん。10代のときに3年間、「スパーク3人娘」として活動したこの2人を抜きに、私の人生は語れません。

当時は仕事仲間というスタンスでしたが、2005年に40年ぶりにグループを復活させたのを機に、絆が深まって、「心の友」と呼べる大切な存在になりました。

でも当初、まりさんは再結成を頑なに拒んでいたんです。「今の私は歌謡曲がメインなので、ポップスは歌えない。だいたい3人娘の活動が好きじゃなかった」と言われて。その言葉に「え~っ!」と思っちゃった。

私の歌手人生に欠かせない3人娘なのに、ポイッと投げ捨てられたような気がして。ミエさんは「あなたに任せる」ということだったので、「絶対にまりさんを説得しよう!」と決め、手紙を書いたり電話したり。結局、「ゆかり、私、3人でできるかも」と言ってくれたので、ミエさんと喜び合いました。