前列左から対馬さいさん、対馬治子さん、平田光繪さん(撮影:藤澤靖子)
年齢を重ねても無理のない範囲で収入を得られたら――。趣味や特技を活かせるものであればもっといい。そんな仕事に出合い、生き生きと過ごす人たちに話を聞いた(撮影:藤澤靖子)

1よりつづく

娘の夢を助けたくて

趣味を仕事にした人がいる一方で、ひょんなことからパン屋さんの《看板娘》になった人もいる。東京都墨田区にある「もちよりぱんSAMBA」。築60年超えのアパートを改装した、レトロな雰囲気が魅力のパン工房&カフェだ。おばあちゃんの家のような懐かしさにあふれる空間には、さまざまなお惣菜パンや手作りジャムなどが並ぶ。

「いらっしゃいませ」と迎えてくれたのは、対馬さいさん(88歳)、平田光繪さん(86歳)、対馬治子(はるこ)さん(83歳)の3人だ。店名のSAMBAは、彼女たち《三婆》に由来しているという。

「私たちの関係はちょっとややこしいんです(笑)。私はこの店の店長・対馬晶子の母親で、治子さんは店長の夫のお母さん。さいさんは治子さんの義理のお姉さんになります。つまり店長の実母とお姑さんと義理のおば、というメンバーですね」と光繪さん。