(写真提供:Photo AC)
現在放送中のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』。横浜流星さん演じる主人公は、編集者や出版人として江戸の出版業界を支えた“蔦重”こと蔦屋重三郎です。重三郎が生まれ育った吉原とは、どんな街だったのでしょうか?今回は、書籍『べらぼうに面白い 蔦屋重三郎』をもとに、重三郎マニアの作家・ツタヤピロコさんに解説をしていただきました。

本当にあった公共遊郭 吉原

蔦屋重三郎を語るには、吉原について少し知っておく必要があります。なぜなら、史実に残る偉大な出版人、蔦屋重三郎を形づくった要因は吉原生まれにあると考えられているからです。

歓楽街という特殊な環境に生まれ育ったことは、重三郎の性格や、仕事のやりかたに多大な影響を与えました。そこには、利点も欠点もあったのです。

吉原が、大きな風俗街であったことは、誰もが知るところでしょう。でも、みんな、知っているのはそれだけですよね。町全体で売春してたところでしょ。政府が認可した箱型の風俗だよね。吉原を説明する際に口に出るのはそんなところでしょうか。

もちろん、その通りなのですが、ときは江戸時代なわけです。時代がいまとはまったく違うわけですよ。そうなってくると、風俗街が持っていた役割や意味も、令和のこの時代とは全然違っているのです。