(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が発表した「認知症及び軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計(令和4年度調査)」によると、65歳以上の高齢者の中で、認知症の人の割合は約12%となっています。認知症の人の介護をする家族も増えるなか、「認知症とは、患者家族に『決断』を強いる病気」と話すのは、認知症専門医の長谷川嘉哉先生です。今回は長谷川先生の著書『認知症は決断が10割』から、先生と、本の編集者である編集Tさんとの対談を一部抜粋しお届けします。

患者さんに気になる症状が出たら、動画を撮る!

長谷川先生(以下、先生) そうそう、患者さんに気になる症状が出ているときは、動画を撮っておいていただけると、すごくいいと思います。

編集T 動画ですか?

先生 そう、受診の際に、それを医師に見せてほしいんです。

そうすることで、医師が適切な診断をくだせる場合があるんですね。

たとえば、患者さんの付き添いできたご家族が「最近、うちのおじいちゃんがやたらと怒りっぽくて、家族は困っているんです」と医師に教えてくれたとします。でも「やたらと怒りっぽい」というのが、どの程度のものなのか、やっぱり言葉だけでは伝わりづらいわけです。

編集T 怒っているところを実際に見てみないと、わからない。

先生 そうなんですよ。