文部科学省によると、令和5年度の小・中学校における不登校児童生徒数は34万6,482人で過去最多となったそう。しかし、自身も不登校経験者である不登校ジャーナリスト・石井しこうさんは、「学校へ行っても行かなくても、結果的にはあまり関係ありませんでした」と語ります。そこで今回は石井さんの著書『学校に行かなかった僕が、あのころの自分に今なら言えること』から一部を抜粋しお届けします。
「週1登校」で、やたらホメられるのがつらい
学校へ行けるのは週に1度、それも放課後や、校長室に寄るだけ。親や先生から「学校へ行けただけで満点だよ」「前よりも長く学校へいられるようになったね」などとホメられる。本来はうれしい言葉。親もがんばりを認めてくれようとしているのに、どんどん学校へ行くのが苦しくなる。前よりも、もっと学校が遠く感じてしんどくなる。
そんな状況ですね。「おかしいなあ」と思うかもしれませんが、その苦しさはまっとうです。なぜなら、あなたに投げかけられた言葉は、無意識に「あなたの今」を否定するものだからです。
あなたは週に1度、学校へ行くたびにホメられますが、その一方で、ほとんどの日を欠席していること、あるいはその週に1度も「まともに行けなかった」ことを、日々苦々しく思っていませんか。週1の登校をホメられることが、逆に「ふつうになれない」「みんなと同じようにできない」と、できない自分を突きつけられている気になっているはずです。
親や先生はホメてくれますが、そのホメ言葉の正体が「否定」に変わってしまったことに、親や先生も気がついていません。信じられないかもしれませんが、親や先生も知らないことがたくさんあるのです。