(イラスト:高橋マサエ)
厚生労働省の調査によると、介護が必要になった主な原因は、女性は「認知症」に次いで「骨折・転倒」が16.5%を占めています。金本千恵子さん(仮名・香川県・無職・74歳)は、大腿骨を骨折し入院。退院したものの、思っていた以上に歩くことさえ不自由に。そんな時、助けてくれたのは離れて暮らす子どもではなく、お隣さんでした。深い関係でなくても、距離が離れていても。ほんの少しのつながりが、大きな支えになることもあるようです――。
のんきに退院したものの、生活はままならず
今から3年前、私は自宅のリビングで転倒し、左の大腿骨を骨折した。救急車で運ばれ、人工骨頭置換術を受けるため入院。思わぬ事態に、離れて暮らす子どもたちは「ひとり暮らしなんだから、急いで退院しないほうがいいよ」と言う。
私も内心そう思いつつ、早く日常生活の中で人工骨頭を自分の体になじませたくて、1ヵ月で退院することにした。
しかし、なんとかなるだろうという考えは甘かった。実際は歩くことさえ不自由で、生活もままならない。そのため買い物は配達システムを利用。湯船にうまくつかれないので、入浴はシャワーで済ませた。
一番困ったのは外出だ。今まで、最寄りの駅までは自転車を使っていた。しかし、よろけて転倒する可能性もあるため、通院はタクシーを使うことに。
そんな生活をしばらく続けていると、これまで挨拶程度のつきあいだったお隣さんが、「私でよければ病院まで送迎しますよ」と声をかけてくださった。私がもたつきながらタクシーに乗る様子を見ていたのだろう。聞けば、彼女も私と同じ曜日、時間帯に同じ病院に通っているという。なんとありがたい申し出。すぐに「お願いします」と頭を下げた。