1989年に漫画家デビュー、その後、膠原病と闘いながら、作家・歌手・画家としても活動しているさかもと未明さんは、子どもの頃から大の映画好き。古今東西のさまざまな作品について、愛をこめて語りつくします!(イラスト:筆者)
映画は街頭インタビューから始まる
ADHDをどう思いますか?
映画は街頭インタビューから始まる。
――「最近よく聞きますよね。私の周りにも沢山いると思う」
――「自分もそうなんで。(笑)」
明るくカミングアウトする若者や、肯定的な街の声もある一方で、受け入れがたいという発言もある。
――「仕事だと別に害が在るわけではないですが、気を使わなくちゃいけないから、下に見ている差別はあるかなと。其れを失くせと言われても、現実には難しいと思う」
思わず前のめりで画面を見てしまった。全編を通して静かな作品だが、心に突き刺さるシーンが随所にある。
映画では、自らがADHDだとカミングアウトする映画監督・君塚匠の視線を通したノンフィクションと、其れを挟み込むドラマが交錯している。ドラマ部分も最初はノンフィクションなのではと思ったほどリアルだ。こちらはADHDの夫・佐藤はじめを支える妻・朱美と、ADHDの息子・村木純を理解しようとする母・貴和子の2家族の日常や交流を描き、ADHDとはどんな症状か具体的に描いている。