
じーさんばーさんが寝てたからね…
101歳を迎えた作家の佐藤愛子さん。100万部突破の『九十歳。何がめでたい』(2016年、小学館 )をはじめ、ユーモアエッセイで長く人気を博しています。百寿者とは思えぬ仕事ぶりの一方で、家族からみた佐藤愛子さんの姿とは。孫の杉山桃子さんがコミックとエッセイで描く『婦人公論』の連載「うちのばあさん101歳」。第5回目は「夢と現」。
夢と現
7年ほど前に北海道の支笏湖(しこつこ)に行った時のことである。
祖母、母、私の3人で空港から支笏湖畔の宿にタクシーで向かう道すがら、タクシーの運転手さんは支笏湖にまつわる心霊話を教えてくれた。
支笏湖のあたりは幽霊が頻繁に出るらしい。我々一家は心霊話が大好きだから、宿まで楽しいひと時を過ごした。
その日の夜中、ふと目が覚めた。コーヒーを飲みすぎたせいか、まんじりともせず過ごしていると突然、
「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」
祖母がとんでもない大声で笑い始めた。