テキストと手製のメモ帳を傍らに置き、中国語でSNSに書き込む(写真提供:マユミさん)
好きなアイドルや俳優、キャラクターなどを応援する「推し活」。青春時代の初恋のように推しに夢中になって、追いかけているうちに、心も体も若返った――そんな3人の女性の日常をのぞいてみたら

2よりつづく

彼にぞっこん!

マユミさん(72歳)が華流ドラマにはまったのは、コロナ禍に夫を見送ってしばらく経った頃。珍しく地元テレビ局が『花様衛士(かようえいし)~ロイヤル・ミッション』という、明代中国が舞台のドラマを放送していた。

おひとり様になるまで、マユミさんの毎日はせわしなかった。近所に住む姑を見守り、パート勤務に出かけ、遠方に暮らす実母の様子を毎日気にかけて……。

夫の闘病中は特に、座ってテレビを見る時間すらなかったし、まして字幕付きの海外ドラマを楽しむ習慣もなかったという。

「それが、ドラマを見始めたらすっかり夢中になってしまって。全55話という長さも苦にならないくらい物語が面白く、豪華絢爛な衣装や魅力的な登場人物、壮大なセットに目を奪われてしまいました。なかでも、主役のアレン・レンにぞっこんです」(マユミさん。以下同)