農林水産省によると、令和6年の基幹的農業従事者の平均年齢は69.2歳で、高齢化が進行しています。そのようななか、ジャーナリストの山口亮子さんは「すでに始まっている『大量離農』により、農業地図が大きく塗り替わろうとしている」と話します。そこで今回は、山口さんの著書『農業ビジネス』から、農業現場の実情と最新事例を一部ご紹介します。
クリスマスケーキの高騰と地球温暖化の関係
ここ数年、高温による生育不良や品質の低下などの話をよく耳にします。気象庁の統計によると、日本の年平均気温は1990年代以降、高温となる年が頻出。長期的にみると100年当たり約1.19度の割合で上昇する試算になっており、温暖化は確実に進行しています。
さらに、ゲリラ豪雨や猛暑日の増加、冷夏や晩秋の高温など、異常気象による農業生産へのリスクも上昇しています。そんな状況下、農業現場ではどんな影響が現れているのでしょうか。
一口に温暖化といっても、年によって春が暑くなったり、夏が暑かったりと、影響は年によって“変動”が大きいです。
なかでも一番影響が出るのが夏の暑い年。作物の生育不良、着色不良、畜産なら牛の乳量の低下や、肥育・繁殖成績の低下といったさまざまな悪影響が出ます。
農業は気温が1度上がっても影響が出る非常に敏感な分野です。農業への影響は世界的にみると、気温の上昇以上に干ばつといった降水量の変化によるものが大きいのです。しかし、日本はむしろ気温上昇による影響が大きいとみられています。