べたつく汗に湿気を帯びた肌。それは「体臭」につながっているかもしれません。実は、においが発生しやすい場所は全身にあります。適切なケアで夏を快適に過ごしましょう(イラスト:末続あけみ 取材・文・構成:島田ゆかり)
皮脂が酸化しやすい中高年は注意
暑い時季は、汗のにおいや体臭が気になる人が多いでしょう。また、年齢を重ねて加齢臭が心配という声も多く聞かれます。そもそも、日本はにおいを感じやすい国だと指摘するのは田朋子先生です。
「複数の化学物質が混合することでつくられる《においの成分》は、空気中の水分と混ざって蒸発、拡散され、鼻でにおいとして感知します。つまり高温多湿の日本は、においが伝わりやすい環境だと言えるのです」(慶田先生。以下同)
とはいえ、体臭が強い人がいる一方で、そうでない人も。その違いは何なのでしょうか。
「汗や皮脂自体は無臭ですが、汗をかいたまま放置すると、皮膚にすみついている常在菌により分解され、その際に不快なにおい成分が生成されるのです。体臭の差は、垢や皮脂の量、常在菌の種類の違いなど。さらに、血液由来の原因もあります。食べたものやストレスなどにより血液中のにおい成分は変化するため、体臭が強い人とそうでない人がいるのです」
血液由来のにおいは、生活習慣が大きく影響するといいます。
「ストレスや疲労がたまると肝機能が低下。すると血液中にアンモニアが増加し、血管を通してアンモニア臭が皮膚から染み出してしまいます。これは別名『疲労臭』と呼ばれるもの。また、腸内環境が悪化すると悪玉菌の腐敗臭が血液に取り込まれて全身を巡り、体臭として体外に排出されることがわかっています。便秘がちな人は要注意です」