所ジョージ
(写真提供:ネコ・パブリッシング)
2025年で70歳を迎えた、タレント・所ジョージさん。長寿レギュラー番組の司会者やシンガーソングライターとして活躍し続ける所さんの<頭の中>は、どうなっているのでしょうか?そこで今回は、著書『所ジョージの世田谷ベース VOL.59 新解釈 スーパートコロ辞典』からワードを抜粋し、国語辞典には載っていない<所さん的・言葉の解釈>をお届けします。

素敵な老夫婦

かんが‐える【考える】[動]
知性を働かせて論理的に筋道を追う。また、そうして結論や判断を得る。「数学の問題を―・える」想像する。「―・えられない事件」あれこれ思いをめぐらす。「将来を―・える」
出典:新辞林

所:ポツンと一軒家のVTRでさ、素敵な老夫婦が居たのよ。そりゃもう山奥の山の上で、旦那さんは子供の頃からそこに住んでるんだけど、今でも交通手段はクルマしかない場所なんだよ。で、旦那さんは、なんとか麓の小学校は通えたけど、中学校は歩いて行けない距離だから、小学校出てすぐ林業の仕事に就いたのね。

山の太い木を切り倒して、枝を払って、丸太にして台車に載せて、麓までもってくの。全部、人の力でやるんだよ。木を敷いて滑りやすくした山道を、何トンもあるような丸太を積んだ台車を支えながら降ろしていくんだって。背骨が軋むようなキツイ仕事さ。しかも、給料はお金じゃなくて、食物。山奥すぎて、買い物する所なんて無いから、食物貰った方が良かったんだって。

旦那さんは、そんな仕事をしながら、奥さんと結婚して、畑も作って、今も山奥の一軒家に暮らしている。そこに突然現れたスタッフにお茶淹れてくれたり、おみやげに大根くれたりと、接待してくれた上に、最後に「なんもないけど」ってうどんも出してくれたのよ。

もちろん、スタッフは感謝して食べてたよ。でもさ、よく考えたら、ご高齢で、今でも買い物に苦労する場所に暮らしてるんだから、そのうどんは、ご夫婦にとっては結構大事なものなはずじゃん。街に住んでいると、うどんなんてコンビニでも売ってるし、外食チェーンでも気軽に食べられるものだけど、山奥で暮らす人にとっては、気軽に食べられるものじゃないはず。そういう事を考えて気付けたら、食べるうどんの味も違うじゃん。ありがとうね! って心から言えるじゃん。