97歳になった今も自分で台所に立ち、朝食と夕食を用意するという、海老澤勲さん(撮影:藤澤靖子)
親子関係を良好に保ちつつ、いつまでも自分らしい暮らしを実現するには、どんな工夫が必要なのか。90代で独居を続ける3人に話を聞くと、そのヒントが見えてきた(撮影:藤澤靖子)

1よりつづく

地元での助け合いが生活の基盤に

神奈川県相模原市在住の海老澤勲さんは、97歳になった今も自分で台所に立ち、朝食と夕食を用意する。

お豆腐は賽の目汁にシャケを焼き男やもめの朝餉(あさげ)は易し

これは、海老澤さんが詠んだ短歌だ。

「昼は、毎日ヘルパーさんが来て栄養バランスの取れた食事を作ってくれるんです。それ以外に週1度、別のヘルパーさんが掃除と洗濯をしてくれる。あとは全部自分でやります。料理は簡単なものだけですけどね」

海老澤さんの毎日は忙しい。朝7時前に起きると、味噌汁を作りシャケを焼いて朝食。続いて、昔からの習慣である朝風呂だ。必ずお湯を張った湯船に浸かりながら、演歌など好きな歌を口ずさむ。やがてヘルパーさんが到着して昼食。午後は買い物や散歩で外出する日も多い。