学校とのつきあいでストレスを軽減させるコツ4選
1 担任も親と同じ視点だという思い込みを捨てる
学校との関わりにおいて、親と担任との間には「見えない壁」が存在することを意識するのが大切です。この見えない壁とは何か。親にとって、我が子は世界でたった一人の存在です。きょうだいが何人いても、それぞれの子どもがかけがえのない存在であり、親の愛情の向け方は特別です。子どもが行き渋りを始めると、親は一大事としてとらえ、全力で関わろうとするでしょう。
しかし、担任の先生にとっては事情が異なります。クラスに30人の児童・生徒がいれば、そのうち一人に費やす時間は、全体の中で割り当てられた時間の一部に過ぎません。たとえば、授業を含めた勤務時間が約150時間であれば、その中の30分の1程度の時間で対応することになります。
もちろん、一人ひとりの児童や生徒を大切に思っていますが、先生の仕事は、集団全体としての教育を進めることです。そのため、一人ひとりに個別に時間をかけることよりも、クラス全体を大切にし、集団としての教育を進めることが優先されるのが現実です。
そうすると、かけがえのない我が子と、30人のうちの一人として対応せざるを得ない担任の先生では、どうしても考え方にズレが生じます。これは決して「いい悪い」の話ではなく、それぞれの立場や役割の違いから生まれる摩擦です。
さらに、親の視点やモチベーションにも変化が生じます。私が取材を通じてよく耳にするのは、子どもが行き渋りを始めると、親はどうしても「クラス内で何か問題が起きているのではないか」「いじめが原因ではないか」といった不安を抱くようになるということです。
しかし、こうした疑問をそのまま先生に伝えるのは難しく、実際には「このクラスはどうなっているんですか?」と率直に切り出せない親が多いのです。
一方で、先生側も心の中で「他の子どもたちは学校に通っているのに、お宅の家庭に何か問題があるのでは?」と感じているかもしれません。
そのため、親と担任が話し合いをしても、双方の考えや気持ちがかみ合わず、ズレが埋まらないことがよくあります。こうしたズレが原因で、親と担任の間には、見えない大きな壁が存在していることを意識することが大切です。
そのためにも、担任の先生が親と同じ視点で子どもを見ているはずだという思い込みを捨てましょう。親としての視点と担任としての視点は異なります。それぞれの立場の違いを理解し、受け入れることで、期待がズレた際のストレスを減らすことができるはずです。