4 学校への連絡係と子ども担当を分ける

学校とスムーズに交渉するために家庭で考えてほしいのは「学校への連絡係と子ども担当を家庭内で分担すること」です。これは私自身も多くの人に伝えてきたことですが、子どもと一対一で向き合う時間が長い人は、やはり子ども担当が適しています。

一方、学校との連絡係は、子どもと向き合う時間がより少ない人のほうが望ましいです。たとえば、お母さんがずっと子どもと向き合っているのであれば、子ども担当はお母さんが、学校と連絡をとる役目はお父さんが担いましょう。あるいは、祖父母に学校との連絡係をお願いするのもひとつの方法です。

先ほど紹介したように、親と学校の間には見えない壁があります。学校には学校のルールや思い込みがあるため、それをくみ取りながら交渉を進める必要があります。もし子どもと向き合っている親がその役割を担うと、精神的にも疲弊しがちです。学校との交渉はある種、ドライに行う必要があり、特にお母さんと担任の相性はよくない。

けれども、お父さんと学年主任は意外と話が合うこともあります。家庭と学校、それぞれの「板挟み」を経験していると、共感できる部分があるのかもしれません。

学校との交渉で多いのは、欠席連絡やプリントの扱いに関することだけでなく、たとえば、「修学旅行に誘ってもいいですか」といったものがあります。一番多いのは、子どもを学校に復帰させるために登校圧力をかけるべきか、かけないかという相談です。

どこかにマニュアルがあるのか、子どもが不登校になると、たいてい、担任の先生が、「お父さんお母さんからも、学校にくるよう言い聞かせてください」などと言います。ドライに交渉したいのは、こんなとき。ドライになれる親なら、「とてもじゃないけど、子どもは学校に行けるような状況ではありません」と冷静に伝えることができるでしょう。

ところが、子どもと向き合う時間の長い親は感情が先行し、親として「こんな状態にしたのは、誰のせいなんですか」と、言いたくもなってきます。そうすると、交渉がうまくかみ合わないんですよね。

子ども担当と連絡係を分けたほうがいいというのは、まさにそのため。「学校への連絡は、子どもの状況をわかっている人のほうがいい」と思いがちですが、その発想は捨てましょう。パートナーや祖父母が躊躇しているなら、「この記事にそう書いてあったから分担しよう」と言って、分担を始めていただけたらと思います。

※本稿は、『小学生不登校 親子の幸せを守る方法 400人の声から生まれた「親がしなくていいことリスト」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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小学生不登校 親子の幸せを守る方法 400人の声から生まれた「親がしなくていいことリスト」』(著:石井しこう/KADOKAWA)

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