(写真提供:Photo AC)
文部科学省によると、令和5年度の小学校における不登校児童数は13万370人で、10年前と比べて5倍増加したそうです。そのようななか、自身も不登校の経験を持つ不登校ジャーナリスト・石井しこうさんは「『頑張らなきゃ』と思うのを親がやめることは、不登校解決の一番の近道です」と語ります。そこで今回は、石井さんの著書『小学生不登校 親子の幸せを守る方法 400人の声から生まれた「親がしなくていいことリスト」』から、一部を抜粋してお届けします。

同伴登校はしなくていい

同伴登校は「修羅の道」

実は最近、「同伴登校」や「付き添い登校」、「別室登校」といわれるものが全国的に増えています。その背景には小学生の不登校が関係しており、親が学校の玄関まで送ったり、教室に一緒に入って様子を見たり、空いている教室に親子で登校することもあります。一見すると子どもの不安を軽減できるように思えますが、同伴登校は「修羅の道」。これはお母さんたちの実感から生まれた言葉です。

同伴登校の最初は、「お母さんが一緒だったら学校に行ける」と子どもが言い出すこともあれば、担任の先生から「お母さんと一緒だったら学校にこられるか、お子さんに聞いてもらえませんか」と言われる場合もあります。ここで考えたいのは、親心です。「お母さんと一緒だったら学校に行ける?」と確認して、子どもが「うん」と答えた場合、同伴登校を拒める親がいるでしょうか。親は「子どもがそう言うなら頑張ろう、子どものためだ」と思い、子どもも「お母さんが一緒なら」と頑張り始めます。

ところが、同伴登校することによって、親も子も後々すごく苦しむことになります。最初は子どもの意思を尊重したつもりでも、結局「行きたくない学校に無理やり連れて行く」形になり、知らず知らずのうちに親も子も追い詰められてしまう。支援しているつもりが、子どもを追い詰めてしまうことになるのです。

また、親がうつ状態になることもあります。子どもではなく、親のほうが校舎を見るだけで手に汗をかいたり、校門をくぐる際にドキドキしてしまったりするケースも見受けられます。