文部科学省によると、令和5年度の小学校における不登校児童数は13万370人で、10年前と比べて5倍増加したそうです。そのようななか、自身も不登校の経験を持つ不登校ジャーナリスト・石井しこうさんは「『頑張らなきゃ』と思うのを親がやめることは、不登校解決の一番の近道です」と語ります。そこで今回は、石井さんの著書『小学生不登校 親子の幸せを守る方法 400人の声から生まれた「親がしなくていいことリスト」』から、一部を抜粋してお届けします。
ゲームは禁止にしなくていい
不登校の初期は親がイライラしがち
子どもが不登校になって家にいるようになると、親としてはついイライラしてしまうこともあります。その代表的なものがゲームです。
「学校に行かなくてもいいよ」と認めたものの、勉強もしないし、片づけもろくにしない。ゲームばかりしている子どもを見ると、「こんなことをさせるために不登校を認めたわけじゃない!」ということで、全国各地の親がもれなくモヤモヤします。
小学生の不登校は、環境を整えると比較的早く回復する傾向があります。これはよいことですが、元気になったからといって、すぐに学校へ行けるわけではありません。そのため、家では元気にゲームをやります。これが、親にとっては許しがたい瞬間になるわけですね。
ゲームは命の浮き輪
子どもがゲームをしているからといって、「ゲームとのつきあい方を学ばせなきゃ」「娯楽との距離感を教えなきゃ」と焦る必要はありません。「じゃあ、ゲーム漬けの生活でいいってこと?」「毎日ゲームばかりしているこの状況、どう考えたらいいの?」と不安に思う親も多いでしょう。
不登校の親たちの間では、「ゲームは命綱」「ゲームは命の浮き輪」と表現されることがあります。学校に行かなくなると、不安や心配が次々と押し寄せますが、ゲームをしている間はそれを考えずに済む。だからこそ、ゲームに救われる子も多いのです。まわりからはただ遊んでいるように見えても、本人にとっては、不安をまぎらわせるためにゲームが必要なのかもしれない。その視点を持つことが大切です。