昼夜逆転は、不登校の子が必ず通る道
朝起きて、夜寝る。これは通常の生活ですが、不登校になると夕方頃に起きて、朝寝るという昼夜逆転の生活にシフトしてしまうことがあります。これは、不登校の子が必ず通る道といわれています。
私自身も、中学で不登校だったときにそうでした。寝る時間が定まらず、親としては、今後一生このような生活になるのではないかと、不安だったと思います。つまり、親は不登校を機に子どもが日常生活を送れなくなり、社会復帰ができなくなるのではないか、と心配するわけですね。
でも、安心してください。昼夜逆転には理由があります。ひとつは、人間の生活サイクルが実は25時間くらいに、少しずれているということ。体内時計は24時間ぴったりに合っていないため、少しずれてしまうことがあります。生活リズムが崩れてくることは、ある意味では自然なことだとも言えます。
日中は罪悪感を抱きやすい
もうひとつ、不登校の子が昼夜逆転しやすいのは、授業や部活動が行われている日中の時間は罪悪感を抱きやすいからです。夜のほうが気持ちが落ち着き、精神的に安定しやすいと感じる子どもが多く、気づけば夜型の生活になってしまうことがあります。こうなると、昼夜逆転はごく自然な流れです。この場合、無理に生活を戻そうとするのではなく、まずは食事のタイミングをどうするのかだけ相談してもらえば大丈夫です。
また、寝る時間や起きる時間を自由にした場合、なんと1周まわって早起きになることもあります。小学生の場合でも、早起きの傾向が見られ、朝5時や6時からお母さんと話をしたがったり、急に何かにハマったりして、「釣りに行こうよ」など言い出すことも珍しくありません。釣りに誘われるとビックリするかもしれませんが、石にハマる子や登山が好きな子、古墳好き、鉄道好きなど、子どもたちの興味は本当にそれぞれです。
そうなると、「昼夜逆転するとゲーム漬けになるものかと思っていたのに、うちの子はずっと石にハマっている。変わっているのかしら?」と不安になるパターンもあります。
けれども、これはいい傾向です。好きなものや趣味を見つけることは、子どもの生きる活力につながります。多くの場合、それがゲームだったりするのですが、このようにまったく別の興味を持つこともあります。
私が聞いた中学生の男の子は、日の出の少し前に起きてゲームをしたり、本を読んだり、散歩をして、夜は7時か8時に寝るという生活パターンを続けていました。ゲーム漬けというわけではなく、この生活サイクルを数年間続け、読書や散歩などすべての活動を楽しんでいる達人のようでした。このようにまるで翁のような生活をする中学生もいるのです。