親の納得より、本人が決めたルールを優先

そして、もし、本人が「起きている間はゲームをする」といった、親としては納得しがたいルールを提示してきても、基本的はデジタルフリーにすることが解決への近道です。

子どもがずっとゲームをしている姿を目にしたり、夜中にゲームの音が聞こえてくると、親は当然、イライラしてしまいます。そんなときは、住み分けることがコツです。よくおすすめしている方法は、ゲームをするときは、親に見えないところでやってもらうこと。ゲームは自分の部屋でする、音はボリュームを下げるのではなく、イヤホンを使うなど調整をすることで、共存しやすくなります。

それから、不登校の子を持つお母さんたちがよく言うのは、「(親は)ゲームの画面をあまり見ないこと」です。ゲームをしているうしろ姿ではなく、本人の表情に目を向けると、充実感や集中している子どもの顔があります。そうすると、そんなに悪いことをしていないんだなと思えるのだそうです。

浮き輪を手放すときがくる

「部屋でゲームばかりしていたら、引きこもりになってしまう」「ネトゲ依存症(インターネットゲーム行動症)になって、永遠にゲームをし続けるのではないか」と心配するかもしれませんが、デジタルフリーにしたほうが、本人が自分のペースでゲームの時間や生活リズムを調整しやすくなります。また、ゲーム依存は、ゲームそのものに依存するのではなく、むしろ不安や自己否定感が強いときに、それを紛らわせる手段としてゲームに頼らざるを得ないことで起きるものです。

ゲームは命の浮き輪と話しました。それは唯一、安心できる時間を与えてくれるものです。しかし、その浮き輪も、いずれ本人の心が回復し、自分で泳ぎ出せるようになれば、自然と手放されていきます。ゲームが支えとなる時期はあっても、ずっとそれに頼り続けるわけではありません。焦らず、あたたかく見守ることが大切です。