文部科学省によると、令和5年度の小学校における不登校児童数は13万370人で、10年前と比べて5倍増加したそうです。そのようななか、自身も不登校の経験を持つ不登校ジャーナリスト・石井しこうさんは「『頑張らなきゃ』と思うのを親がやめることは、不登校解決の一番の近道です」と語ります。そこで今回は、石井さんの著書『小学生不登校 親子の幸せを守る方法 400人の声から生まれた「親がしなくていいことリスト」』から、一部を抜粋してお届けします。
無理な自宅学習はしなくていい
子どもが何を学びたいかに目を向ける
子どもが不登校になると、ほとんどの親は「勉強が遅れてしまうのでは?」と心配します。でも、大切なのは「どう教えるか」よりも、子どもの「学ぶ力」を信じること。これが非常に重要です。
大人はつい「どうやって教えたらいいか」「どんな勉強法がいいのか」「どうしたら自分から勉強してくれるか」と考えがちですが、子どもは本来、ものすごい吸収力を持っています。いいことも悪いことも、どんどん学びながら成長していきます。
東京大学名誉教授で教育学者の大田堯さんも、「学習と生きることとは一体なのだ」とお話しされています。だからこそ、親は「何を教えるか」にこだわるのではなく、子ども自身が「何を学びたいか」に目を向けてあげることが大切です。
たとえば、月1万円の習い事に通わせるとします。親としては「いい先生だから毎週きちんと通わせたい」と思うかもしれません。でも、子どもは習い事の道中で落ち葉や小さな虫をじっと観察しているかもしれません。そうやって自分の興味を深め、そこからたくさんの学びを得ているのです。
大事なのは、「どうやって教えるか」よりも、子どもが「学びたいこと」を邪魔せず、支えてあげること。それが基本です。