サントーシマ香
(人物撮影:本社・武田裕介)
考えごとをして寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりする日はありませんか? そんなときは短時間で深い休息の効果が得られる瞑想法、「ヨガニードラ」をおすすめします(構成=上田恵子 撮影=本社・武田裕介)

自律神経を整えて質のいい睡眠を

私は大学生のときに心身のバランスを崩し、健康への意識が高まるなかでヨガと出会いました。緊張した心と体がヨガでほぐれることを実感した私は、その理論と自然療法を学ぶべく卒業後に渡米。そこで出会ったのが、今回ご紹介する「ヨガニードラ」です。「ニードラ」は、サンスクリットで「眠り」を意味します。ヨガニードラは、マットの上であお向けになって行うリラクゼーションの一つで、寝転がってできる瞑想法です。

コロナ禍以降、主にオンラインで生徒さんにヨガを指導していますが、不安や緊張などで眠れない、熟睡できないという声をよく聞きます。このような精神的疲労は、心配しすぎる、考えすぎる、人の目を気にしすぎるといった理由からも起こるのです。読者の皆さんのなかにも、布団のなかで考えごとをしてしまって眠れないなど、睡眠に関する問題を抱えている人が多いのではないでしょうか。

眠りたいのに眠れない――そこには自律神経が大きく関わっています。自律神経には、活動や興奮、緊張を担う「交感神経」と、休息や充電を担う「副交感神経」とがあり、この2つが昼夜バランス良く働いているときは、人は健康的なリズムで生活ができ、質の良い睡眠を得ることができるのです。けれどストレスで自律神経のバランスが崩れると、交感神経が優位に働き、うまく眠れないという事態に。睡眠の質を高めるためには、夜になったらなるべく神経を休ませ、心身ともにリラックスすることが役立ちます。

通常の睡眠では、脳波はリラックス状態のアルファ波からまどろみのシータ波になり、深い睡眠のデルタ波に比較的速やかに移行するもの。ですがヨガニードラを行うと、アルファ波やシータ波のたゆたうような状況、意識は目覚めているけれど、体と神経系は深く休息しているという独特の状態になります。昼間に行えば体の緊張がほぐれ、数分でもぐっすり眠ったような爽快感が得られ、就寝前に行えばスムーズに眠るための入眠儀式にもなるでしょう。