(撮影:本社・武田裕介/イメージ画像:stock.adobe.com)
睡眠改善を目的とした商品やサービスに注目が集まっています。「夜中に何度もトイレで目が覚める」と悩む68歳のライターが実際にトライ。ハイテクグッズを駆使して、快眠は得られるのでしょうか(撮影:本社・武田裕介)

30、40代は泥のように眠れたのに

オバさんか、おばあさんか。68歳になった私は、週に4日は鏡の中の自分に「老けたなぁ」と思い、残りの数日だけ「まぁまぁ」と合格点を出す。この差は何か。答えはわかっている。前夜の眠りだ。

ちゃんと眠れた日とそうでない日では、見た目10歳は違う気がする。できることなら一日でも長くオバさんに留まっていたい。そんな願いを叶えるべく、自分の眠りを徹底的に検証して改善の道を探った。

睡眠を意識しだしたのは、47歳の時。「すごいいびきをかくよ。それに途中で何回も息が止まってる」と泊まりに来た友人から言われたのだ。今思えば睡眠時無呼吸症候群なのだろうが、その時は「そんなこともあるか」くらいに考えていた。

30、40代は仕事や遊びに大忙しで、昼夜逆転しながら泥のように眠る生活。睡眠の悩みなんてあるわけがない。40代半ばからは健康診断のたびに高血圧と言われ、降圧剤を処方された。友人に「息が止まってる」と指摘されたのはそんな時だ。

睡眠の変調をハッキリと自覚したのは、50歳で閉経して更年期を迎えた前後のこと。夜中、尿意で叩き起こされるようになったのだ。寝る、起きる、寝る、起きる。何回めかの時に呆れて正の字を書いたら一晩で8回! 日中は体がだるくて仕事どころではないので医者に訴えたら、睡眠導入剤を処方してくれた。

それで寝られるようになったけれど、目覚めが悪い。さらに朝、心臓がバクバクと脈打って叩き起こされるようになった。そのうち日中、心臓が鷲掴みされたように痛くなり立っていられない。病院で検査をすると、心房細動と軽い心臓弁膜症との診断。

医師は「脳梗塞の危険」だの「心筋梗塞の危機」だのおっかないことばかり言い、血液サラサラになる薬と降圧剤ほか2種類の薬を処方した。まったく睡眠障害のわらしべ長者かよ、と自分につっこみを入れたくなるのが今の私だ。