(写真提供:Photo AC)
多くの企業では、新入社員に向けて「どのように(How)」仕事をするのかが細かく書かれた業務マニュアルが用意されています。しかし、帝国ホテルの教育システムを構築した経験を持つ大野加奈さんは、「『How to』だけを教えても、素晴らしいサービスを提供できる人は育たない」と語ります。そこで今回は、大野さんの著書『サービスを言語化する』から抜粋し、人材育成のヒントをご紹介します。

「ありがとう」が飛び交う職場

ある日、人材育成部へ新しく配属されてきた後輩からこんな言葉をかけられました。

「大野さん、今まで働いてきて、こんなに『ありがとう』を言われることなかったです」

確かに、人材育成部ではいつも「ありがとう」が飛び交っていました。それは1つの部の文化になっていたのです。

些細なことでも、まず「ありがとう」で受け止める。評価はその後。何はともあれ、してくれたことへの感謝の気持ちを伝える。そのような振る舞いを全員が自然にできていたので、お互いの仕事を積極的にサポートしようという気持ちを当然のようにみんなが持ち合わせていました。