文部科学省によると、2023年度に年30日以上登校せず「不登校」と判断された小中学生は34万6482人で過去最多となったそうです。不登校の児童生徒が増加するなか「じつは、子どもが抱える問題の背景には、親子関係をはじめとする家族の状況が深く関わっているケースが少なくありません」と語るのは、教育者・工藤勇一さんが信頼を寄せるスクールカウンセラー・普川くみ子さんです。そこで今回は、普川さんの著書『3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラーが伝えたい 10代の子どもの心の守りかた』から、親子コミュニケーションの極意を一部ご紹介します。
子どもが心配なときほど踏み込みすぎずにそっと見守る
――「大人」になってほしいなら、子どもを「大人」として扱う
私の経験上、14歳を過ぎれば、多少の困りごとを抱えていても、親や周囲の大人に打ち明けることは少なくなります。しかしそれは、子どもが自立への道のりを歩んでいる証拠。親としてはその変化を喜び、見守る姿勢が大切です。
そのとき子どもは、自分の力で解決に向かおうとしているのかもしれません。友達に相談することで、道を切り拓こうとしている可能性もあります。
もしかすると親に助けを求めることもあるかもしれませんから、そのときに手を差し伸べられるよう「いつでも手を貸す準備はできているよ」と伝えてあげてほしいと思います。
ふだんから「何か手伝えることがあったら、気軽に言ってね」と軽く、でもしっかりと伝えておくことで、子どもも困ったとき、自然に頼みやすくなります。