イラストレーターの南伸坊さん(左)と俳優の小林聡美さん(右)(撮影:清水朝子)
外出の機会も少ないし、楽しいことなんて滅多にない……そんなふうに感じている人、いませんか? でもそれは、気づけていないだけかもしれません。日常のふとした瞬間におかしみを見つけ、エッセイに綴ってきた《達人》の二人。どんなふうに周囲を観察しているのでしょう。(構成:野本由起 撮影:清水朝子)

前編よりつづく

知らない世界の扉を開けて

小林 私は最近まで、韓国ドラマやK-POPにまったく興味がなかったんです。でも、あまりにも周りの人たちが夢中になっているのでなぜだろうと、少しずつ見るようになって。最近ではガールズグループのオーディション番組にまんまとハマりました(笑)。

素朴な女の子が、どんどん自信をつけて垢抜けていくの。そういう番組をひとつ見ると、他のグループも気になり始めて。いろいろ見比べると、「以前はこういう傾向だったけど、最近はこういうグループが人気なんだな」と、知らない世界が見えてくる。

南 自分が変わるんだね。それが面白い。

小林 韓国ドラマも、いまだに俳優さんの名前は覚えられませんけど、「この人はあのドラマにも出ていたな」とわかるようになって。今は、蜘蛛の巣が広がるように脳神経がジリジリ通っていく覚醒の時期なんです。

 ボクはまだまだ自分の好みが勝ってるなあ。

小林 依然としてアニメ映画が人気じゃないですか。私もいつかアニメを見る日が来るのかな。

 あ、そうそう。アニメってずっと子どもが見るものだと思っていたけど、見ると、いつの間にか普通の映画のように没入してるよね。

小林 「私は興味ないから」と敬遠していた世界も、扉を開けたら案外夢中になれるのかも。

 今流行ってるもんも、きっとそれぞれ面白いんだろうね。