(写真提供:Photo AC)
「家」を重視する血縁主義から「個」の時代に変化しつつある現代では、弔いの「正解」を教えてくれる人が身近にいないために、葬式やお墓の問題に悩まされる人も多くなってきています。そこで今回は、浄土宗僧侶・鵜飼秀徳さんと日本経済新聞記者・大久保潤さんによる共著『弔いの値段 葬式、墓、法事……いくら払うのが正解か?』から抜粋し、弔いにまつわる「聞きたくても聞けなかった実情」をご紹介します。大久保さんによると、「戒名はグレードによって驚くほど高額になることもある」そうで――。

法外な値段がまかり通る戒名問題

戒名(宗派によっては法名、法号)は、最も安い「信士」「信女」が30万円以上、その上のグレード「居士(こじ)」「大姉(だいし)」だと50万円以上などと葬儀会社の情報サイトには紹介されています。驚くほど高額です。

実際には、葬儀会社に「信女でいいです」などと伝えれば、それなりの金額で「葬儀一式」と一緒に請求されることになります。

かつては石原裕次郎や美空ひばりら著名人の戒名やその値段が週刊誌の特集記事になり、それが社会的ステータスのように注目されました。

その影響は一般人にも広がり、「戒名は高い方がいい」あるいは「高くても仕方ない」という感覚を生んできたのだと思います。