(写真・有泉伸一郎)
司会者やキャスター、俳優などさまざまな分野で活躍する、お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」の上田晋也さん。今回は、上田さんが40代の10年を振り返った初の書き下ろしエッセイ『経験 この10年くらいのこと』から一部を抜粋し、上田さんが赤裸々に綴った知られざるエピソードをお届けします。

事件〜娘のお小遣い〜

ある日、家内が小学校4年生の娘を叱っていた。いつもはヘラヘラしている娘が、その時はシクシクと涙を流しながら神妙な顔をしているので、何事かと問うた。

じつは2日前、私は娘に、習い事に行きたいけれどパスモの残高がないと言われ、2000円を渡していた。ところが、娘はそのお金をパスモにチャージせずにお菓子と漫画の本を買っていた、とのことだった。まさか娘がそんなことをする子だとは夢にも思っておらず、ショックと怒りで、私も強目に「なんでそんなことをした?」と詰問した。

すると娘は泣き叫ぶように、

「悪い心が出た!」

と言い放った。(いや、悪い心が出た、って―─)と、超意外な答えに私は思わず吹き出しそうになった。いや、少々吹き出したと思う。

幸い、娘は反省しきりで下を向いていたためバレなかったが、しかし、ここは真剣に怒って、ちゃんとわからせなければいけない場面である。私は噛みちぎらんばかりに思いっきり舌を噛んで笑いをこらえ、険しい表情を作り、

「二度とそんなことをするんじゃないぞ! 後はお母さんから─―」と言い残し、別の部屋に移動して独りでひとしきり笑った。