温州みかんが全国の作物に「藏光農園」(写真提供:藏光さん)
お金をかけずに欲しいモノが手に入ったら――。物価高の今、そんな願いを実際に叶えている人たちに話を聞いた

スーパーには行かなくなった

和歌山県日高川町の藏光(くらみつ)農園には、毎週のように日本全国から《物々交換》の品が届く。段ボール箱の中身は、旬の野菜や果物、米、魚、ケーキまでさまざま。送り主は、全国の生産者や漁師、飲食店の人たちだ。

藏光農園からは、丹精込めて育てた温州みかんやハッサク、甘夏、南高梅などを送っている。

「現在、全国50軒ほどの生産者と物々交換しています。飲食店も含めると70軒くらいになるでしょうか」と話すのは、同農園を営む藏光俊輔さん(46歳)。妻の綾子さん(46歳)は、「スーパーに行く必要がなくなった」と微笑む。

「13~14年前に物々交換を始めて以来、米は一度も買ったことがないんです。いただきモノで一年中まかなえています。高値が続いているので、本当にありがたいですね」と綾子さん。

食費に換算すれば、「年間で数十万円の節約」だが、「お金のためというより、人とのつながりが嬉しい」と口を揃える。