藏光さんご夫妻。草生栽培を行っている(写真提供:藏光さん)

物々交換のきっかけは、和歌山への移住直後に始めた綾子さんのブログだという。

大学時代に出会ったふたりは2011年の結婚を機に、俊輔さんの実家の農園を継ぐため、和歌山へ移住。東京で会社勤めをしていた綾子さんにとっては、大きな決断だった。

「海外赴任の話もあったのですが、彼から『2年後には和歌山に戻りたい』と言われて。私にとっては、田舎も海外も《異文化体験》だと思って決心しました」と笑う。

移住後に間もなくブログを始めたのは、「都会の友人に、自分たちの作ったみかんを食べてほしかったから」。

綾子さんは、「知り合いはほとんど都会暮らしなので、せっかくだから、和歌山のみかんを味わってほしいと思って。販売の告知だけでなく、農家の妻としての日常を発信し始めました」と話す。

それがきっかけで、同じようにブログを書いていた全国の農家の妻たちとつながりができ、「農産物を交換してみましょう」という話になった。

「最初の相手は、秋田と九州の農家さんでした。秋田からはリンゴやサクランボが、九州からは、お米や野菜が届きました」。

市場には出せない、形の悪い果実や少し傷がついた実でも、味は申しぶんないため、物々交換すれば無駄にせずにすむ。

「ご近所はみかん農家ばかりですから、物々交換の意味がない(笑)。遠くの生産者とつながれば、お互いにお金をかけずに全国の旬の食材を味わえる。これって究極の生活じょうずなんじゃないかと気づいたんです」と俊輔さん。