さくら治療院院長 神﨑貴子さん
もともと身体が持っている自然治癒力を高め、健康増進に繋がる「お灸」。「お灸女子」なんて言葉が登場するほど、今、このお灸が人気なのだとか。昔ながらのお灸を手軽に日常に取り入れる方法を、鍼灸あん摩指圧マッサージ師の神﨑貴子さんに伺いました。

ホルモンの乱れに起因する不調の改善に最適

お灸は、2000年以上も前から行われてきた東洋医学の治療法。全身に点在するツボにヨモギから作ったもぐさを置き、火をつけて温めることで刺激します。もぐさを燃やす熱は体の深部まで届くため、ツボ周辺の血行を良くして自然治癒力を高めることができるのです。

お灸は、特に血の巡りを良くする効果が高く、更年期症状など女性ホルモンの乱れから来る不調の改善に適しています。体を温める効果もあるので、寒い季節の冷え対策、風邪予防にも役立つでしょう。

「お灸を据える」という言葉もあるように、「お灸=熱くて怖いもの」「跡が残る」といった印象をお持ちの方も多いはず。しかし最近のお灸は、紙で巻いたもぐさと紙パルプの台座を組み合わせた形状で、ほどよい温度になるようコントロールしてくれます。

昔ながらの「灸」に対して「温灸」とも呼ばれるこのタイプは、肌に火が直接触れないので、正しく使えば火傷の心配もありません。また初心者向けに温度が低いもの、ハーブの香りつき、煙の出ないタイプなどの温灸もあります。

お灸というと、誰かにやってもらう印象があるかもしれません。けれど、自分の手が届く範囲にもツボはありますので、症状に合わせて「セルフお灸」をしてみましょう。方法は簡単。台座の付いた温灸を用意します(下図参照)。

底のシールをはがし、机の上などに置いて火をつけたら、台座の横を持ってツボの上に置きましょう。熱すぎたり、不快に感じたら、ガマンせずに取り外すか、場所をずらしてください。(体質や体調、季候によって温熱の感じ方は変わります)

温灸の効果は火が消えてからも続くので、強い温熱や不快感がなければ、台座が冷えるまでそのまま置きます。外した温灸は水に入れて完全に消火しましょう。

一つのツボに使う温灸は、1日3個まで。ツボも1〜3ヵ所に留めましょう。効果は、すぐ実感できる場合と、数日かけてジワジワ改善していくケースがあります。心地いいと感じる範囲内で、体調に合わせて続けてみてください。