イラスト:石川ともこ
本日2月24日(水)のNHK「あさイチ」では大人の発達障害にスポットを当てます。そこで、「婦人公論」の記事から発達障害の専門家による解説を。
一般にも知られるようになってきた「発達障害」ですが、症状の表れ方は人それぞれ。もし自分や家族が発達障害であった場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。大人の発達障害の患者を数多く診断・治療してきた、専門医の宮尾益知先生にうかがいました。後編は「自分、家族が診断されたら…」です。(構成=田中有 イラスト=石川ともこ)

ASD、ADHD、LDの特徴を専門医が解説!

親にとっても子にとってもくつろげる家庭にするために

当院へ発達障害の疑いのある子どもを連れてきた両親に、ASDやADHDの特性が見られることはよくあります。親世代は発達障害という考え方がなかった時代に育ち、「変わった子」などと言われながらも学校や職場で周囲と同じ程度かそれ以上の成果を出してきた人も。ところが、家庭を持ったり管理職に昇進したり、環境の変化をきっかけに周りとうまくやれなくなることがあるのです。

たとえば妻が体調を崩して咳き込みながら洗い物をしていても、夫は気にせずゲームをしている。「手伝おうと思わないの?」と妻は腹を立てるでしょうが、もし夫がASDだったなら、察するなんて到底無理。こういう日々の小さな行き違いが、夫婦間の亀裂を深くしていくのです。

さらに深刻な場合は、暴言や暴力の問題が起こります。自分のルールにこだわるASDの夫が、日頃から口うるさく文句ばかり言ってくる妻に手を上げる。あるいはADHDの母親が、衝動的に子どもを罵倒してしまう。こうなると家の中は殺伐として、家族の誰にとってもくつろげる場所ではなくなります。