母との確執、和解、看取りを『婦人公論』で赤裸々に語った青木さやかさん。その後、WEBでの連載エッセイも反響を呼び、母の日に『母』という本として上梓しました。一方、まだ「母を愛せない」ことを公には言えなかった時代に、自伝的小説として描いた村山由佳さんと、「母と娘の悩ましい関係」について語り合います(構成=丸山あかね 撮影=川上尚見)
自分だけじゃないんだ、と気持ちが楽に
村山 青木さんがこのたび上梓された『母』を拝読しました。素晴らしいですね。
青木 光栄過ぎます。私、どうしたらいいのでしょう。
村山 いえ本当に。私も10年ほど前に、母娘の確執を描いた小説『放蕩記』を発表しまして。
青木 もちろん読ませていただきました。私は母を好きになれないという罪悪感に苦しんでいたのですが、拝読し、自分だけじゃないんだ、と気持ちが楽になったのを覚えています。
村山 こちらこそ、青木さんのエッセイに救っていただきました。それにしても、よくここまで赤裸々に綴られましたね。
青木 婦人公論のウェブで連載を始めた当初は、私のエッセイを読んでくれる人がいるのかな、という感じだったんです。なので編集部さんから反響があると聞き驚きました。コメント欄を読み、こんなにも母親との関係に悩んでいる人がいるのかと。これはいい加減なことはできないなと怖くなり、身が引き締まると同時に、できるだけ正直に書こうと努めました。
村山 青木さんのご両親は、ともに教師でいらしたのだとか。厳格な家庭環境だったようですね。
青木 特に母が。それでも躾に厳しかったというだけなら、後々感謝していたと思います。問題は、母が私に自分本位な怒りをぶつけてきたことなんです。
村山 たとえば?