古文書講座でできた友達と京都に旅行にいったことも(イメージ/写真提供:写真AC)
できれば、いつも前向きに楽しく暮らしたい。けれど、そううまくはいかないのが現実です。病気や家族の問題など、さまざまな困難にぶつかったとき、どう気持ちを軌道修正すればいいのでしょうか。体験者のリアルな声にヒントがありそうです。3人目はサキさん(65歳・仮名)、会社を勤め上げた後、再就職をめざしましたがー―(取材・文=丸山あかね)

60代で再就職に挑むも出鼻をくじかれて

大学で行われている生涯学習で、幸運の鍵を見つけたという人もいる。サキさん(65歳・フリーランスの校閲者)は、出版社の会社員時代を、校閲の仕事一筋で通した。

「第二の人生は別の仕事をしたいと考え、継続雇用は選択せず60歳で定年退職しました。私は日本の中世に関心があり、古文書を読めるようになりたいと在職中から思っていたのですが、それはあくまで趣味。料理を作って人に振る舞うのが好きなので、定年後は食堂関係で働こうと張り切っていました」

ところがハローワークへ行って、完全に出鼻をくじかれてしまう。サキさんにつきつけられたのは、年齢制限という現実だった。

「自分の年齢では、飲食業だけでなく、どんな仕事も自由に選べない。資格の取得さえ許されないというのが現実で。自分は世の中から必要とされないんだ、ただの初老の女になってしまったんだ、と思い知らされました。一方で人生100年時代、この先40年もあるのに、どうやってモチベーションを保って生きていけばいいのだろうと思い悩んで、すごく苦しかった」