高齢者は常に脱水症の危険に晒されていることをご存じですか。最悪の場合は命を落とすことも――。屋外・室内にかかわらず、渇きを感じていなくても、マメな水分補給を心がける必要があります。「教えて!『かくれ脱水』委員会」副委員長である麻酔科医・谷口英喜さんに詳しく聞きました (構成=中山あゆみ イラスト=花くまゆうさく)
渇きを感じにくくなっていることに注意!
血液やリンパ液、汗、涙、唾液、尿……。私たちの体は、体液が体重の約6割を占めています。体液には体温をコントロールする役割のほか、栄養素や酸素を運び込んだり、老廃物を排出したりする働きがあり、体を正常に維持してくれる体液が失われることを「脱水症」と言います。
体液は常に入れ替わりながら、一定の量を保っています。1日に必要とされる水分量(mL)は、体重に40をかけた数字。体重が50kgの人なら約2000mLの水分が必要になり、だいたい飲料水から1000mL、食事から1000mL摂取し、同量の水分が体から出ていっていると考えればよいでしょう。
しかし加齢とともに、人は食事量が少なくなりがち。これは、知らず知らずのうちに水分摂取が減ってしまうことを意味しています。さらに、のどの渇きを感じる口渇中枢という脳内のセンサーも鈍るので、渇きを感じにくくなっていることにも注意が必要です。
【チェックリスト】
それ、脱水症のサインかも!?
□ 手足が冷たい
□ 集中力が続かない
□ 二日酔いのように、吐き気があったり食欲がなかったりする
□ 手に力が入らない
□ 37度くらいの微熱がある
□ 舌が乾いている
□ 寝ているときに足がつる
□ 日中、6時間以上
□ トイレに行かない
□ 体中が痛くなる
□ 経口補水液を飲んで「甘い」「おいしい」と感じる