一度に摂取する水分量は、コップ1杯でOK

脱水症の予防策は、筋肉量を維持するために体を動かし、筋肉のもとになるタンパク質を多く含んだ食事を3食しっかり食べ、こまめに水分補給する、これだけです。「筋肉量を増やす」というと、筋トレをしたほうがいいのか、と思われるかもしれませんが、その必要はありません。ただ家の中を歩くだけで筋肉量は維持できます。自粛生活であっても、座っている時間を極力減らせばいいのです。

加齢で筋肉量が減るのは、単純に歩く量が減り、体で最も筋肉量が多い下半身が衰えてくるから。仕事でもスポーツや趣味でも、用事をつくって歩きましょう。毎日、スーパーに買い物に行くだけでも、十分な運動になります。

水分補給の際、一度に摂取する水分量は、コップ1杯程度でOK。一度にたくさんの水を飲むより、回数を多くするほうが、水分が体に残ります。デスクワークをしている方なら30分に1回、外出中や運動しているときは10分に1回くらいのつもりで。頻繁に摂れるなら、一度の量はお猪口1杯分でも十分。ペットボトルを持ち歩き、少しずつ飲むのが理想的でしょう。よくカフェインが入っているものは避けたほうがよいか聞かれますが、アルコール以外の水分であれば、お茶でもコーヒーでも、飲みやすい温度の飲料を摂取していただいてけっこうです。

 

【体調にあった飲料の選び方】

【ここに注意!】 ※ 経口補水液は、日常的に摂取する飲料ではありません。いざというときに備えて買い置きしておけば十分です ※経口補水液は水で薄めてはいけません。また消費者庁許可・特別用途食品個別評価型病者用食品のマークがついたものを選ぶようにしましょう ※ 熱中症予防には、必ず脱水対策を。塩だけを舐めるのは非常に危険です。水も一緒に摂ってください

 

飲んでも飲まなくてもトイレには起きる

トイレが近くなるからと、夜間の水分を控える方がいらっしゃいますが、高齢者の場合、これは非常に危険です。ペットボトルを枕元に置き、寝る前とトイレに起きたときには水分を摂る習慣をつけるようにしてください。

水分補給せずに、就寝中に汗をかいて6~7時間も水分が失われ続ければ、脱水状態になることも。実際、脳梗塞や心筋梗塞を起こした人が救急車で運ばれる時間帯は、朝4時から10時に集中しています。夜間の脱水がいかに危険か、わかっていただけるでしょう。

夜間に尿意で起きてしまうのは、水分を摂りすぎるせいではありません。加齢で膀胱が硬く、広がりにくくなっているため、少ししか尿がたまっていないのに尿意を感じてしまうからです。寝る前に水分を摂っても摂らなくても、トイレには行きますから、試しに「飲んでも変わらない」ことを実感してみるといいでしょう。

脱水を放置すれば命にかかわる一方、ただ水を飲むだけで脱水は防ぐことが可能。「水は魔法の薬」と思って、積極的に摂取する習慣をつけてほしいと願っています。