瀬戸内寂聴さん(撮影:本社写真部)
2021年11月9日、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが亡くなりました。享年99。35歳のとき瀬戸内晴美の名で作家デビュー、女性の生き方を描いた作品を次々と発表し人気作家となります。51歳で得度(とくど)、名を寂聴と改めたのちは、作品や法話を通して、人々を《ことば》で導いてきました。横尾忠則さんが生前の思い出をたどり、お人柄を明かします
(構成:山田真理 撮影:本社写真部)

人間、死んだらどうなるの?

11月9日、朝7時頃に目覚めた僕は、瀬戸内さんに対する漠然とした「不在感」に襲われました。それで隣にいたカミさんに、「瀬戸内さん、亡くなったよ」と言ったんです。その少し後に、寂庵から「今朝、旅立ちました」と連絡が来たときは本当に驚いて、体がうっと寒くなるのを感じました。だけど悲しいとか、虚脱感は不思議と感じなかった。

瀬戸内さんとのおつきあいは、50年以上。その間には連載の挿絵や『瀬戸内寂聴全集』の装幀の仕事などいろいろありましたが、プライベートではまあよく遊びました。出会ってすぐの頃にはアメリカのハードロックバンドのコンサートへ。ヘタなゴルフ、温泉旅行、宝塚歌劇、インド旅行にもご一緒しました。

寂庵に行くのも、実家に帰るような感じでね(笑)。冷蔵庫を勝手に開けて、「大したものないなあ」なんて言っても大丈夫。遊びに行くと伝えておくと、僕の好物のぜんざいを用意してくださって。その後は、行きつけのお店でステーキです。

お坊さんが肉食なんてと言われても、瀬戸内さんにそんなタブーはありません。開けっぴろげで天衣無縫な生き方を最後の最後まで通された。