スズメバチで毒針をもつのはメスだけ(イラスト:ウラケン・ボルボックス)
様々な生きものに害を与える「毒」。日本薬史学会副会長・日本薬科大学客員教授で、『毒と薬の世界史』など、毒にまつわる著書を多数持つ船山信次先生によると「私たちの近くにも、人に害をもたらすような強い毒をもっている生きものがたくさん潜んでいる」とのこと。今回、そんな毒をもつ生きものの中から、陸地に生息するスズメバチとコモドオオトカゲについて解説してもらいました。

メスだけが毒をもつスズメバチ

ヘルメットをかぶったような固い頭に、大きくて鋭いアゴ。スズメバチは、見た目からしてとても強そうですが、その毒も最強。

怒るとお尻の先から毒針を出し、注射器のようにブスリ! 何度でも刺すことができるので、スズメバチの集団におそわれて約100カ所を刺された人もいます。 

スズメバチのなかで毒をもっているのはメスだけ。毒針は、お腹の中の卵を産むための部分(卵管)が変化したものなので、卵を産まないオスには毒がありません。

スズメバチが攻撃的になるのは、巣づくりをして子育てをする7~11月。唯一卵を産むことができる女王蜂と生まれた卵を守るため「巣に近づく者は敵だ!」と総攻撃をしかけてくるのです。

1匹のスズメバチがもつ毒の量はそれほど多くありませんが、怖いのはアナフィラキシーというショック症状。ひどいときには呼吸困難などになり、命を失うこともあるので、スズメバチが集まるところや巣を見つけても絶対に近づかないで!

スズメバチ
【分類】昆虫類・ハチ目
【生息地】北海道~九州、屋久島
【大きさ】25~45mm
【対処法】刺されたら…傷口を水で洗い流して冷やし、抗ヒスタミン軟膏を塗る。頭痛、吐き気が合ったら病院へ!
『すごい毒の生きもの図鑑 わけあって、毒ありです。』(監修:船山信次 絵:ウラケン・ボルボックス/中央公論新社)