一瞬にして花火の虜に
花火に出会ったのは1987年の夏、当時報道カメラマンをしていた私に大阪の天神祭の記録の依頼があった。それまで事故や事件などばかりを目にしてきた私にとって鮮やかな色と大きな破裂音。幼少の頃に両親に手を繋がれて出掛けた花火が蘇るとともに、精神が癒される体験は今も心の奥底から離れることがない。一瞬にして花火の虜になったのである。
それ以来、報道カメラマンをしながらスケジュールが空いているときには全国の花火を求めて撮影に出かけるようになった。
初めは何も分からずオモシロイ写真を撮ろうとフォーカスを外したり多重露光で重ねたりズーミングしたりと小手先で撮っていたような気がする。そのうち真実の写真を求めて例外を除いては多重露光はせずワンシャッターで撮るようになった。
それは写真に対してと見る者にとっての私なりの誠実さでもある。とにかく自分の目で見た感動をそのまま伝えようと様々な場所から撮影するようにした。