「毎日ダルくてバイトに行くにも起きられなかったのに、パチンコを打ちに行く時は違う。新台オープンの為に張り切って早朝に起きた」(写真提供:青木さやかさん)
2022年10月4日、東京・大手町の日経カンファレンスルームで、「依存症の正しい報道を求めるネットワーク」主催のグッド・プレス賞2020(雑誌部門)の授賞式が行われました。コロナの影響もあり、2019年~2021年度までの3年分の、ゲームからアルコール、薬物やギャンブルなど、さまざまな依存症を扱った記事が表彰されました。青木さやかさんが自身のギャンブル依存について告白した記事を再配信します。


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青木さやかさんの好評連載「47歳、おんな、今日のところは「……」として」ーー。青木さんが、47歳の今だからこそ綴れるエッセイ。母との関係についてふれた第1回「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」が話題になりました。第6回は「〈ギャンブル依存症〉として」です。

1万円が100円に見える日も

かつてパチンコのことばかり考えていた時代がある。25年くらい前、実家のある名古屋(本当は名古屋市ではない)にいた頃から。毎日ダルくてバイトに行くにも起きられなかったのに、パチンコを打ちに行く時は違う。新台オープンの為に張り切って早朝に起きた。目覚まし時計より早く起きることができたものだ。

パチンコ友達のおじさんと店で待ち合わせして、前日に台ごとの回転数を控えてあった紙を見ながら話す。
「35番台がいいよ」
「昨日35番台に座ってたおばさん、今日も来てる。取れないかも」
「走って35番台にタバコ置いといてやるよ」
「えー、いいの!」

そして35番台を朝一で取れた日は世界一ついてる! という錯覚に陥った。決してお金があったわけではないが、その時ばかりは「1万円が100円」くらいの感覚になった。