相続に関する民法(相続法)が改正され、順次施行されます。夫に先立たれた妻や、親族を介護した人に関する新しい制度など、気になるポイントについて専門家に解説してもらいました。今回は、介護した人への財産分与についてです。(構成=山田真理)
Q.夫の親を介護した妻の取り分は?
⇒「特別寄与料」の請求が可能に
⇒「特別寄与料」の請求が可能に
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介護者の献身に報いる制度。ただしもめるのは覚悟で
介護は、相続の時にもめる原因になります。故人と離れて住んでいたため、ほとんど連絡も取っていなかった人もいれば、同居して献身的に介護をした人もいるからです。
これまでも、報酬を得ずに故人の介護や看病をした人は、寄与分として「相続財産を多く受け取りたい」と主張することができました。
しかし、寄与分を請求できるのは法定相続人に限られており、たとえば夫の親の介護をした妻にはその権利がありませんでした。相続人である夫が「妻が介護していたことを相続で考慮してほしい」とほかの相続人に主張しない限り、夫の相続分が増えることもなかったのです。
それが今回の改正で、相続人ではない親族(息子の妻・孫・きょうだいの妻など)も、寄与料の請求ができるようになりました。(2019年7月1日施行)