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かつて女性の辛さは「女三界に家無し」と表現されました。しかし現代、「本当に住む家が買えない、借りられない」という危機的状況に直面するケースも増えています。そして男女雇用機会均等法で社会に出た女性たちが、会社勤めをしていればそろそろ一斉に定年を迎える時期に…。雇均法世代である筆者は57歳、夫なし、子なし。フリーの記者・編集者。個人事業主ではあるが、見方によっては「無職」。ずっと賃貸派だった彼女が、60歳を目前に「家を買おう」と思い立ち、右往左往するリアルタイムを、心情とともに綴ります。
この記事の目次
日本中で「民族大移動」が起きる時期
賃貸物件を借りる時のルール 帯に短し、たすきに長し 住むことは人生そのものだ

前回「公団へGO!~これぞ最後の頼みの綱、お金さえあれば何歳でも、単身無職でも借りられる!」はこちら

日本中で「民族大移動」が起きる時期

2月から3月は、不動産業者にとって、年間で最大の繁忙期だそうです。
激しいです。良い物件ほど足が速いです。空きが出た、となったら、とたんに申し込みが入ります。退去も出ますが、入居希望も入り、物件がどんどん入れ替わります。春の転勤や進学、就職を前に、日本中で「民族大移動」が起きる時期だからです。その勢いに、急ぎでもない、期限が決まっている訳でもない私は、いま、すっかり吹き飛ばされそうになっています。

2月のある日曜のことです。以下の2つの賃貸物件を見たいと、不動産仲介業者A社に事前にアポを入れました。

1、某私鉄沿線B駅(急行停車駅)徒歩7分 4階建て3階部分 52平方メートル南向き 家賃9万7000円+共益費3000円、敷金ゼロヵ月、礼金1ヵ月、現空。

2、同C駅(Bの隣駅)徒歩10分 5階建て1階部分 54平方メートル南東向き 家賃8万2000円、共益費なし、敷金1ヵ月、礼金1ヵ月、現空。

いずれも、スーモやアットホーム、ホームズなどの賃貸情報ポータルサイトで探して見つけた物件です。取り扱い業者として書かれていたのが、B駅前にあるA社でした。火曜にメールでアポを入れた段階では、両方とも「現空」つまり「現在空室」「即入居可」で、部屋の中を見る「内見」が出来る状態でした。

この時点で、私にとってこのエリアは、ほとんど土地勘がなく、未知の状態でした。上記の2物件がどれほど「お得」か、どのくらい「お勧め度」が高いか分かりませんでした。この沿線で、実際に賃貸物件を探したことも、内見したこともなく、たまたまウェブ上で見つけ、写真や条件を比べただけです。「家賃(共益費や管理費込み)10万円以内」「B駅かC駅から徒歩10分以内」という条件に合ったので、どんなものかまずは見てみよう、という軽い気持ちでした。

果たして日曜。不動産屋に行って、そこで担当者から衝撃の事実を告げられました。「2つとも、申し込みが入ってしまいました」。申し込みが入ると募集はストップしますから、内見もできません。なんと。不戦敗です。ここで私は久しぶりに、賃貸物件を借りる時のルールを思い出しました。「早い者勝ち」です。