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かつて女性の辛さは「女三界に家無し」と表現されました。しかし現代、「本当に住む家が買えない、借りられない」という危機的状況に直面するケースも増えています。そして男女雇用機会均等法で社会に出た女性たちが、会社勤めをしていればそろそろ一斉に定年を迎える時期に…。雇均法世代である筆者は57歳、夫なし、子なし。フリーの記者・編集者。個人事業主ではあるが、見方によっては「無職」。ずっと賃貸派だった彼女が、60歳を目前に「家を買おう」と思い立ち、右往左往するリアルタイムを、心情とともに綴ります。

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「とりあえず確保」

老後の心配から始まった私の「住み替えクエスト」ですが、なんだか今、ノリと勢いで、マンションを買うことになっちゃってます。もともと賃貸族を豪語していたのに。購入するにも、銀行ローンがつかないと始まらないのに。でも、銀行の融資うんぬんの前に、そもそも、経済的にはマンションを購入しちゃって良いんですっけ? 生涯設計から見たら、実はずっと賃貸の方がお得、っていう可能性もありませんか? というわけで、遅ればせながら、今更ながらですが、お金のプロ、ファイナンシャル・プランナー(FP)に老後の資金計画を相談してみました。

FPは、不動産仲介業者が紹介してくれました。素晴らしいことに、最近はこういうサービスもあるようです。ふつう、個人でFPに老後の資金計画を相談すると、相談料を取られますが、不動産業者を介してだと相談料は無料!です。しかも、FPとの相談内容は、守秘義務があるとかで、紹介してくれた業者にも秘密だそう。FPは中立の立場から、「買わないほうがいいか」の検討も含めて資金計画全般の相談に乗ってくれるとのことでした。さて実際は……?

今回、私の相談に乗ってくれたのは、FPのY氏でした。見た目30代後半のイケイケ自信家ふう。妻と共働きみたいで、いかにもパワーカップルです。そのY氏が最初に指摘したのは、自宅マンションを購入することの意義でした。「マンションを買う時にみんなが一番に考えるのは、これでずっと住む家を確保できた、という安心感です」。特に私のようなアラ還は、今後、年齢が上がると、賃貸の更新ができるか、何歳までなら住み替え可能か、という不安があります。

でも、「とりあえず確保」しておけば、老後に住む家をなくして路頭に迷う心配をしなくてよくなります。不安の種が一つ減るのは、QOL(生活の質)として大きな利点です。さらに賃貸と違って資産になりますから、買い換えや賃貸に出すことも出来ますし、なんなら老人ホームの入居金に当てることだってできるでしょう、とY氏は言いました。

確かにそうです。購入した物件なら、最後はその物件を売って、老人ホームの入居金にするか、またはそこを人に貸して老人ホームの月々の支払いに充てるか、どちらかが出来ると、私も計算していました。現実的に、特養は常に定員が満杯です。老人ホームや高齢者施設は、良いところは結構お高くて、会社員だったとしても、満額を年金で賄える人は少ないでしょう。例えば、父が生前に入っていたグループホームは、毎月30万円近くかかりました。年金で足りない部分は貯蓄を削って充てるしかありません。