山口真由「周囲に気を遣って、あわせようと努力していました。中学校の修学旅行へ行くときも、不安で何度も体を洗う練習をしたほど」(写真:本社 中島正晶)
山口真由という人の経歴を聞く限り、私たちは尻込みをしてしまう。東大卒、官僚、弁護士、ハーバード大留学といった経歴に加え、現在は情報番組のコメンテーターや特任教授まで。本人もあるときまでは「自分はエリート」と思いながら梯子を登ってきたが、社会に出てから多くの挫折を経験。「自分を落伍者」と認めるのはとても辛く、どん底まで落ち込んだとのこと。そうした“どん底の経験”を「飴玉」と呼び、自分らしい生き方を見つけるまでの奮起材料にしてきた、という体験談を綴った『挫折からのキャリア論』について、本人に話を聞いた。(構成◎小林久乃 撮影◎本社 中島正晶)

圧倒的に日本の教育システムに合っていただけ

ーーその華麗な経歴に加えて、『モーニングショー』(テレビ朝日系)や『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(TBS系)などでの飾らない、かつ的確なコメントは視聴者の人気も高い山口さん。つまり、近寄りがたい。いったい、当の本人はどんな人物なのだろうか。疑念ではなく、期待。彼女の周囲を包む、ヴェールを一枚ずつはがすような気持ちで、インタビューに臨む。

両親、今一緒に暮らしている妹も現役の医者です。一度は医学の道へ進むことを考えましたが、小学生のときの解剖の授業で志が破れました……。

あの、血がダメなんですよ……(笑)。それでも両親は何か“士業”についてほしかったらしいので、大学3年生で司法試験を受けたんです。

勉強ができてすごいね、という褒め言葉はたくさん言われてきましたけど、実は私、勉強が大好きなわけではなかったのです。圧倒的に日本の教育システムに合っていて、優等生になっていっただけなんですよ。

教師が教えてくれることを一切、疑わずに繰り返して、真面目にこなしていく力が人よりも多くあった。褒められれば、褒められるほど自分の能力が強化されていく。

ただ目上の人に、自分の意見をきっぱり言えるような度胸はなかったですが。