(イラスト:ネコポンギポンギ)
自粛ムードが緩和され、再び旅を楽しめるようになりました。これを機にひとり旅に挑戦しては? 1年の3分の1をひとりで旅する《ソロ旅マスター》が楽しみ方を指南します(構成=上田恵子 イラスト=ネコポンギポンギ)

解放感のなかで非日常が楽しめる

コロナ前からじわじわとブームが続いている「ソロ旅」。旅行会社がおひとりさま向けのプランを作ったり、ひとり旅専門のガイドブックが刊行されたりと、注目が集まっています。

ここで皆さんに質問です。あなたはひとりで旅をした経験がありますか? もし答えがNOなら、それはもったいない!

もちろん家族や友人と同じ経験をして絆を深めるのも旅の楽しみですが、旅行ジャーナリストから見て、旅の醍醐味をとことん味わい尽くすには「ソロ旅」が一番だと思います。

その理由は3つ。まず、「役割から解放される」から。私たちは普段、妻、母、娘、嫁など、何かしらの肩書を背負って暮らしています。だから、家族と旅をすると、その役割のなかでしか楽しめません。でもソロ旅なら、しがらみのないひとりの人間として過ごせる。解放感のなかで非日常が楽しめるのです。

2つめは、「自由気ままでいられる」から。旅をする際、仲間や家族がいると全員の希望や都合に合わせて行程を調整しなければなりません。しかし、ソロ旅の場合はどこにお金と時間を使うか、すべて自分ひとりの判断でいい。自由に決められることで、満足度も高くなります。

3つめは、「〈好き〉を極められる」ということでしょうか。最近は有名な観光地を巡るよりも、自分にとって大切な場所を訪ねる旅がポピュラーになってきています。ニッチな趣味や興味のあることをピンポイントで楽しめるのは、ソロ旅の醍醐味ですね。

私は地方の美術館に行くのが趣味なのですが、家族と一緒だとせかされてのんびり観賞できません。でもひとりなら好きなだけ作品を眺められます。また、予期せぬ出会いがあるのも、ソロ旅のいいところ。以前、広島県のの頂上で、ひとり旅の女性と写真を撮り合い仲良くなり、おすすめスポットの交換などをしたことも。興味が同じだと、初対面でも盛り上がれます。

ソロ旅が定着してきた理由として大きいのが、SNSの普及です。これまで「ひとり旅は自由でいいけど、感動を分かち合う相手がいなくて寂しい」という人もいました。けれど今は、SNSを使って「この景色すごい!」と投稿すれば、見た人がリアクションを返してくれます。食事の際も、料理の写真を撮ることで手持ち無沙汰から解放されるようになりました。